2022-01-01から1年間の記事一覧

令和4年12月11日(日)橋本治でハッとしたという話

絞りを習い始めたばかりのころのお話です。早く出来るようになりたくて、絞りの糸を何回くらい巻くといい絞りになるのか?絞り上げる糸の強さはどれくらいがいいのか?とたくさん質問をしました。音楽のボリュームを変えるつまみのように、自分の絞りの調子…

令和4年12月10日(土)糸を探す

絞りに使う糸を探している。 絞るときは糸を強く引っ張るために力がかかる。強度が必要だから絞り専用の糸が存在しており染色材料の専門店で買える。私は絞り専用の糸はいまのところ使っていない。修行していたときは糸と布だけは支給されていたのでそのとき…

【2022年ありがとうございました】布をつかう、つかうことは、つくること

もうひと月もしないうち、今年の1年が終わります。皆さんにとってはどんな年でしたでしょうか? 今年の夏くらいから短い文章を月数回アップしていました。もともとは制作した感想をまとめる長文ブログでした。短い日記のような文章は「書くと元気になる」と…

令和4年12月6日(火)ギャザーを寄せる

絞りを習ったころによく言われたのが「ギャザーを寄せる」ということで、糸で縫った布をさあ絞り上げるぞという前に、ギャザーを寄せておく。それがどの技法でも私の絞りの必須の作業になっている。 布を縫って糸を縮めると、とても綺麗な布の形ができる。ギ…

令和4年12月2日(金)布は包む、布は育てる

布について思いをめぐらせる。布というのは不思議な存在感で、雨に濡れた道路に落として踏まれて一旦気付かれないほどになったとしても、その気になって洗って乾かせばよみがえってまた使える。布は水を通し、風を通す。ガラス板はそれらを通さない。 布はあ…

令和4年11月30日(水)おしえて辻が花

辻が花染めは私にとって縁遠いものだと思っていたのだけど、染色を(とくにその歴史についてを)勉強したい気持ちがあるために無視は出来ない。辻が花染めは「幻の染め」とも呼ばれるほど、今ではほんの一部をのぞいては作られていないようだ。そもそも日本…

令和4年11月27日(日)絞りはウエット

絞り染めは最古の染色技法のひとつで、江戸時代に友禅染めが発明されるまでは、ちょっと信じられないことですが、後染めである模様染めの一番よい作り方が絞り染めだったんです。そしてだいたい同じ頃に注染(※手ぬぐいの効率的な染め方で現在は伝統工芸とし…

令和4年11月25日(金)継続記事の続きを書きたい

先に結論を言うと「継続記事の続きを書きたい。下書きは一通りしているけど、加筆にもう少し時間がかかる」というお話です。今日はもう、これ以上の内容はありません。すみません。 このブログは絞りを始めて1年間程が経ち、絞りと染めのモチベーションを下…

令和4年11月23日(水)布を見てもらってきた

自作したしぼり染めが、すこしずつではあるけれど溜まってきた。最初に自分の布を染めて大きな透明な衣装ケースに保管し始めたのが4年前で、それが今は半分くらい埋まっている状態になった。自分や子どもが使っている布もある。学校にかよっているわけではな…

令和4年11月17日(木)化学知識の必要性とかをつれづれに

化学染料は合成染料とも呼ばれ、2つはほぼ同じ意味です。ほぼという留保をつけたのは自分の知識に自信がないのと「じゃあ何で2つの名前があるんだろう」という疑問からとです。 藍染めをはじめとする天然染料(草木染め)に対して、人工的に作られた染料は…

令和4年11月8日(火)たのしい杢目(もくめ)しぼり

縞模様に着目して色々試行錯誤していたら、「杢目(もくめ)しぼり」という技法を自然とやってみることになった。ちょうど木目のような模様になるからそういう名前がついたのかなと思う。この間直線を縫って縞模様のしぼりををつくっていた。線同士が5ミリ…

令和4年10月18日(火)藍・桃・橙・紫は「ある」 赤・青・黄・黒は「ない」

色について気になってしまうようになった。この間、染め物と関係がないと思って見ていた言語学のYouTuberが「数と色は共通している」と言ったのを聞いて、耳が過剰に反応した。2年くらい前に読んだ『ヨーロッパの装飾と文様』(海野弘 著)の始まりの「装飾 …

令和4年10月13日(木)デジタル、アナログ、染めもの

このブログでは、化学染料と草木染めのそれぞれの色の違いにかんするお話をよくしています。今の社会では、草木染めの色は貴重な良いもので、やや敷居の高いものというイメージを持って扱われているように思います。一方、化学染料はコスト的に安いが、あり…

令和4年10月7日(金)染めを失敗してしまった

一昨日染めた絞りを解いたら失敗していました。私が絞りを染めるときの分かりやすい失敗は、大きく分けて2種類あります。かたく留めたと思っていた絞りの糸が染めている途中で解けてきてしまうタイプと、布と布が重なって思わぬ防染をしてしまうタイプです。…

令和4年9月29日(木)色に関しての引用➁〈柳悦孝〉

「草木染めの色と、化学染料の色は何が違うのか」という問いがこのブログによく出てくるようになりました。自分で感じる以外に、その違いについて著している人の意見が気になります。これまで読んだ資料から引用して何か書いてみる試みの2回目です。 今回は…

令和4年9月14日(水)技法は雨、デザインは治水

時々は、技法を布にうつすようなことをしている。技法というものは、そのままでは大雨の中に立っているみたいなものだと思う。漠然とした雨の模様にうたれるような感覚だ。 「どういうこと?」と思われるかもしれないのだけど、昨日も技法をそのまま布にうつ…

令和4年9月9日(金)染みる(染まる)こと 落ちること 乾くこと

今日は、織りの話から始める。日本手ぬぐいの生地に使われるさらし木綿が好きである。さらっと清潔に使えて気持ちがいい。文(ぶん)という規格のものは20番の糸で織られている。 この生地は色素の吸着が早いのだろうか、とても染まりやすい。今日はもう結論…

令和4年9月7日(水)クシャクシャになった手ぬぐい

3年ほど前に作った細かい模様のしぼり染め手ぬぐいを自分で使っている。色はブルーグリーンなので初夏から夏の終わりにかけて外出するときに持っていった。これは色落ちのほとんどしない「スレン」という化学染料で染めたもので、同じ染め色のハンカチを幼稚…

令和4年9月6日(火)模様が一番だいじ

今年の5月に思い立って、しぼり染めの試作生地を使ってなにかできないかな?ということを考えて栞を作ることにした。7月に8枚作り、2回目の今回は3枚だけ作れた。 私の栞は布を貼った紙をカットするので布用のハサミでは駄目で、紙が切れる一般的な工作用の…

令和4年9月2日(金)縞模様と水玉(ドット)模様 ※追記あり

縞模様と水玉模様を絞りの技法で初めてやってみたとき、どちらも元の模様のイメージとはだいぶ違うものになって面白かった。まっすぐな線も絞りの連続になり、水玉模様のひとつひとつは鹿の子絞りでつくった。 縞模様は、その模様のもつ特徴、歴史的に広まる…

令和4年9月1日(土)色に関しての引用〈白洲正子〉①

染め物をやっているのだから、布の染め色についてはこれからは一生懸命考えなければならないと思います。でも染めたものを見て「うーん」とか唸っていても特に何も起きず、出るのは「なかなかいいね」か「これはダメだね」という感想くらいです。実物を見な…

令和4年8月24日(水)色見本を作ってみて、思ったこと

こんにちは。しぼり染めの色見本を作ったのでそれを時々眺めています。そのなかで感じたことを書いてみましょう。まず、小さくカットすると色が変わってみえます。素材になった大きな布よりも、光を反射する面積がぐっと減るからかもしれませんが詳しくはわ…

令和4年8月22日(月)最初のしぼり染め色見本ができました

3年以上前に、『しぼり染め色見本をつくったら良さそうですね』と言ってもらって、その時はまだ染色を始めたてだったけど、そのうち染め色としぼりの部分両方を見本にしてみるのはいいかもと思っていた。今年6月にやりだして、ひと月以上かけて少しずつま…

令和4年8月17日(水)模様とは、絵と文字のあいだ

文様・模様とは、雨模様や心模様などという捉えにくいものまで図として整理したアイディアのことではないだろうか。染色作家の柚木沙弥郎さんは「模様とは絵を煎じ詰めたもの」だと言っている。確かに絵にしてから文様・模様になっていくということもあるし…

令和4年8月12日(金)残暑によせて、絞り染めは装飾の手段

絞り染めというのは、既に織られた布地にたいし、一部または全体に強い圧力をかけることで何らかの模様を作る。白洲正子の書いた文章の中に「良い布を織る織物作家は多いが、布を用いて模様染めをしたものには良いものは少ない」ということが書いてある。3…

令和4年7月24日(日)しぼり作業は孤独なのか?

しぼり作業はひとりでやっている。染め物と違って、たいていは一度でやり終わる量ではないことが多いので、もう少しいけるか・つかれたからやめるか・音楽をかけてもう少し続けてみるか・などの状況がある。そして孤独に耐えられなくなることがある。 今年の…

令和4年7月21日(木)ハサミを新調する

ここのところ、しぼり染めの布で色見本をつくりながら使えるものがほしくなってきて栞をつくり、そのまた残りの小さな端ぎれ、というか小さければ1センチ角程度の端材が出る。それをシールにしてみている。丸、楕円、四角、亀の甲羅のような六角形などの小さ…

令和4年7月20日(水)お代を頂き、岸を離れる

先日から過去に染めた絞りの布を栞にしていた、その後日談。なかなか良い感じに出来たのでSNSで「欲しい方がいらっしゃったら、また作ります」と募集をしてみたら、ひとりの女性から「欲しいです」とメッセージをいただいた。きれいなものを愛する読書家のす…

令和4年7月15日(金)植物の命とは?〈後〉

昨日の続きです。私が初めて挑戦した草木染めの黒豆の皮の色素には、アントシアニンが含まれています。アントシアニンは、秋に葉っぱが紅葉するときにつくられる赤い色素でもあります。緑の葉にはクロロフィルという色素が含まれており、葉緑素が光合成をし…

令和4年7月14日(木)植物の命とは?〈前〉

2年ほど前のこと、植物の色を用いて染織作品を作る人の言葉を読んでいました。その本には"植物の命と、自分の命が合わさる" ということがないと、植物の色は染められない、とありました。 しかし玉ねぎの皮や茜の根、黒豆の種子、お茶の葉など、草木染めの染…