令和4年9月1日(土)色に関しての引用〈白洲正子〉①

染め物をやっているのだから、布の染め色についてはこれからは一生懸命考えなければならないと思います。でも染めたものを見て「うーん」とか唸っていても特に何も起きず、出るのは「なかなかいいね」か「これはダメだね」という感想くらいです。実物を見ないと色というのはどうもよくわからないのでインターネットもそこはさほど役に立たず、ほうぼうへ出向いてみるしかないです。

それはそれとして、自分以外の人の色についての意見を本で読んでオッと思うことが時々あります。これまでに読んだ資料から引用して何か書いてみようと思います。

天然染料と化学染料の比較というのは1つのテーマですので、今回はそれにちなんだトピックを。まずは白洲正子著「きもの美 選ぶ眼 着る心」(光文社知恵の森文庫)から。

“この頃は化学染料も、大そう進歩し複雑ないい色合いが出せるようになりました。特に、植物染料を必要とはしない。よく、植物にこだわる人がいますが、おかしなことです。が、先の柳さんの話にもあったように、植物の方が、安全ということはある。間違っても、変な色が出ないからです。”

(伝統のきもの 2 ーー染めものーー藍について 「きもの美」p147より引用)

 

植物にこだわるのはおかしなこと、とバサッと言い切っているのはなかなかすごいなと感じます。白洲正子さんはある時期銀座で「こうげい」というお店の店主をし、きもの周りの品を売っていました。また「ものは使わないと美しさが見えてこないのだ」ということを度々書いておられますから、みための美しさだけではなく値段や実用性にも厳しいのかもしれません。

草木染めをやろうとすると、化学染料と違って染めるのに説明書がないから、草木染めのやり方について書かれた本を読みます。そうすると、植物の色の素晴らしさを讃えるような文章にあたることがとても多いんですよね。

続きはまた書きます。この文章が書かれた時代をふまえつつ、引用にある柳悦孝(柳宗悦の甥にあたる)の意見もまた引用したいと思います。