令和5年3月31日(金)今年3ヶ月のまとめ、そして針の管理に困っている

3月末日です。年度末でもあるので、軽く振り返りをしようと思います。今年1月から3月までのことを少しお話します。

今は主に、絞り染めの実用的なものを作っています。実用的なものを作ることで、生活の中でも無理がなく絞りの魅力に触れることのできるプロダクトを作りたいからです。実用的なものを作るには洗濯、日光に対する丈夫な染めが必要だと考えます。それで、スレン染料という化学染料を仕入れて染めています。模様染め(柄ものの染め)の衣服の多くが反応染料という化学染料で染められているそうですが、それよりも色落ちがしにくい反面、少し高価な染料です。

(※非実用なものや、きものまわりの絞り染め、帯や帯揚げなどについてはまた違った染料で染めようと計画していますが、それはまだまだ進んでいません。)

スレン染料の問題は混色しづらいことで、混色実験に苦労しています。でも、苦心して混色したものは自分が見て良い色だと思うことが多いし、人からの反応も良かったです。1月の頭に、藍染め師の人に4年分の絞り染めを見せたら見事に混色したものだけが良いと言ってもらったので、手間はかかるけど頑張ろうと思いました。

すこし前から、どうも、スレン染料で紺色や藍色を染めるのはあまり楽しくなかったのです。それは、藍染めの色に魅力が負けてしまうと思うからでした。しかし混色した布の色が良いと言われたことをきっかけに、藍色の染料に他の色を混ぜて、同じ藍色のようでも「何かの色のかかった色にする」ことでかなり色に奥行きや表情が出ることがわかりました。化学染料も研究次第。何度か試すうちに素敵な紺色が染まりました。

もちろん、色として最高ではないのかもしれませんし、本当の藍染めのような薬効もありません。人によって色々な意見はありそうなのですが、まず、自分が出来る範囲で「今のところいちばんいい」紺色を作ることはとても大事でした。

最近、哲学者の千葉雅也さんのnoteの『「男の料理」的追求へと向かわないこと』という記事を読んでみて、すごく良かったのでちょっとだけ紹介したいです。「終わらない自分探しが続いちゃうみたいなのはやっぱり問題で」という前置きにピンときました。今作れるもので答えを出すことの大事さを教わりました。

私の軸足である絞り作業のほうはですね、ずっと挑戦したかった新しい絞りをやってみていて、苦戦中です。たくさんの針が布からぶら下がった状態で進めなくてはならないという絞りで、針と糸がいちいち絡まってしまって大変です。染めてみていい模様になりそうなら、今後はやり方を整理する必要があります。あとは、前に作った試作の模様から少しずついいものを選んで、長めの反物を染めようと思っています。

プロダクトとしては、晒の絞りハンカチ、そして小風呂敷という正方形のものを作るようになりました。手ぬぐいなど、小幅(35センチ程度の)反物状のものだけやっているのに比べ、デザインの手法が増えたように感じます。

そんなところです。いつも以上のまとまりのない文章をお読み頂き、ありがとうございました。そうだそうだ、皆さんも忙しい年度末を本当にお疲れさまでした。それではまた。