令和5年7月22日(土)模様染めの悩みを公開してみる

悩みがある。無地の染め物を一度もしたことがない。絞りを自分で染めて行こうと思って染色を独学し始めた5年前から、どんな小さくても必ず絞ってから染めるのだと決めた。とにかく模様を作りたかったし、どんな模様かによって色の良し悪しがわかるだろうと思っていたからだ。

染色について少しずつ知るうちに、染色がうまくなりたいなら無地染めができたほうがいいのかな?という疑問がうかぶようになってきた。無地をきれいに染めるのは技術がいるとプロも言っている。絞り染めはムラも味と言われるが、模様からできる素直なムラはきれいにだが、模様と無関係にできるムラはきれいだと思えない。やはり無地染めができたほうがいいのか?

初志貫徹というほどのたいそうなものではないけれどその後も無地染めはしていない。そのことに去年はモヤモヤ、モヤモヤとしていた。

今年の1月に、藍染め師さんのところであれこれ染色の話をしたときにそのことを思い切って聞いてみた。「私は無地染めを練習したほうがいいですか?」答えはこうだった。

「無地染めと模様染めは根本的に違います。無地染めは色を染める、染め物というのは本来、無地染めのことなのです。模様染めというのは模様を染めるものです。」

わかるようで、わからなかった。

でも、私は絞り染めで模様を作っていて、染色したあとに糸を解き、その模様の白いところがきれいに見えれば、ああよくできたと思い、そうではないとがっかりする。言われたことの全部はわからなくてもなんとなく当てはまるところも感じた。

それからこうも言われた。

「私のところに、藍染め技術を身につけた人が時々相談にきて、最近何を作ってよいのかわからないのだということを言います。そういう人には無地染めをすることをすすめています。ムラがなく美しい布地を染めるのはとても難しくて一生かかると思いますよ、と言います。」

私は、次々に作りたい模様が浮かんで困るというほどではないにしろ、1つの模様を絞ってるうちに新しい模様のスケッチをして、それを染めたらどうなるか見てみたいなと思っていることが多い。

少なくとも作りたい模様があるうちは無地染めをしなくともいいのかもしれない。

ただ、1つだけ気になるのは草木染めのときの色が落ちやすいのが、絞り染めの手間をかけているのにもったいないなと思ってしまうことだ。もったいないと思うのは当然でもあるけれど、何だか当たり前すぎる感性でつまらないと思う。

そんなことから色の堅牢性に囚われ過ぎているところがあり、せっかくの広い染色の世界を楽しみきれていないのではないかと感じている。もっと広くて大きい絞り染めができるようになりたいなと思う。どうしたらそうなれるでしょうか(というか広くて大きい染め物とはいったいなんぞや)。