草木染めは、色の先生

こんにちは、最近草木染めをしていて思うことをユルユルと雑記風に書いてみます。

草木染め、もっともっとやっていきたいですね。
茜や、黒豆、小豆、イチョウの葉、たまねぎの皮などで染めたりしているのですが、共通していることはこんな感じです。
染めの時空間がとてもゆったりしていて、染液をとるときには良い匂いがたちこめています。
色は、合成染料にはない透明感をもち、染色による布の劣化もしづらいおかげで染めた布の風合いも活き活きしてみえます。
まったく、いいことがたくさんあります。

こんなことを言うと怒られるのかもしれませんが、草木染めの色は、かなり適当に染めても、染め上がりをパッと見て「ああ、いい色」って思います。
もちろん「ムラが入って失敗した〜 涙」とか「薄くしか染まらなくて残念だなあ…」とか、そういう細かい愚痴みたいなことはもちろん、ありますけど。

でも、純粋に色だけを見た場合、ほぼ100%「いい色」なのです。すごいでしょ。

合成染料を使っていて「いまいちな色だなぁ」ってことは残念ながら多いので、工夫すれば良くなるとはいえ、草木染めの色合いの「はい、一発OK」といった感じはちょっと、草木よ!すごいなあ!と思います。(※合成染料が悪いのではなく、布選び、染め方などによって色のよしあしがかなり変わるため、これは私の技術の課題の話です)


アースカラーや渋めのパステルカラー等、地味な色が草木染めではとても綺麗に染まります。
それだけでなく意外と鮮やかな色も染まるんです。そういう強い色でも、一本調子ではなく、鮮やかさの中に深みのある色で、絞りととても合います。
寒色系の色にも、どこか温かい感じが必ずあります。

草木染めの色素は単一でないから複雑な色合いを染められるのだ、と説明することはできます。
たとえそれを知っていても「このようなよい色が出やすいのは何故だろうか?」と不思議になります。


いっぽう、合成染料のほうが、色もちの良い染め物が作れます。なおかつ、ムラが目立ちにくく染色が失敗しにくいという利点があります。実用的側面は合成染料に軍配があがると言えます。

私の実感として、合成染料は草木染めだと難しい様々な色相も、季節問わず自由に染められるという利点があります。
それから、誤解を恐れずにいえば「ヘタがバレづらい」です。
草木染めの色の透明感は美しい絞り染めの効果を盛り上げますが、失敗も目立ちやすいからです。

合成染料がデジタル、草木染めがアナログのようだと思ってブログを書いたことがありますが、→令和4年10月13日(木)デジタル、アナログ、染めもの - しぼりぞめこの制作日記

こうも例えられそうです。
草木染めの魅力はアコースティックギター(ベース)、合成染料の魅力はエレキギター(ベース)だと。

エレキのほうが粗が目立ちにくくて、誤魔化しが効きやすいところがあります。
しかし、よいアコースティックギターの演奏の音色の透明感は、たいへん素晴らしいと思います。
そんな感じと似ている気がします。

突然音楽の話になってしまいました。例え話はそれくらいにします。


私の場合は絞り染めなので、ひと晩とか長時間、染液に漬け込んで色を濃く染めるタイプの草木染めは向いていません。
漬け過ぎると模様が滲みてしまうからです。
短い時間で何度も染めるか、短い時間で濃く染まる合成染料を使うか、私の場合はそのどちらかがいいです。

草木染めと合成染料のどちらも使うことにして、どのような使いわけをしようか迷っていました。
どちらにしろ、絞りを染めるには良い色を知ることが大事です。
草木染めの色は、良い色を私に教えてくれます。こんなに色は雄弁であると。

染めるたびに、私の目は刺激をうけます。絞りと違い、染色は独学であることが時々不安なのですが、私にとっては「草木染めそのものが色の先生である」ということを考えつきました。
その思いつきは、すごく良いという気がしています。

草木染めを合成染料で色を染めるときの参考にするようになってから、すこしずつ良い色を染められるようになってきていると感じます。


今回はこのへんにします、お読み頂きありがとうございました。それではまた次回。