今年の冬の、黒染めについての報告

この冬は主に黒を染めていた。
雪が少なくて、白を見る率が例年より低い冬だった。すごく。
春の花が咲く前に眼をリセットする意味でも、黒を染めたかったように思う。

黒い絞り染めは、ちょっと珍しい。
珍しいけれど『染色の美』という昔の雑誌で、昔の黒い絞り染めのきものを見たことはある。

黒といっても真っ黒ではなくて、チャコールブラックとでも呼びたいような色にしている。
筆で紙に描く墨には、赤みの墨と青みの墨があるので、そういう墨の絵の色味を参考に、今年は色々な黒色を配合して試してみた。
結果、2つの黒ができた。
ひとつは赤みも青みもない、真ん中くらいのあたたかい黒。
もうひとつは青みの黒。


青みの黒は私の好みとは違うかな?と最初は思っていたけれど、染めてみると案外よかった。
とくに、ナチュラルな風合いのきなりに染めたものは、青い光を感じる黒と、きなりの繊維本来の色が不思議な相性の良さだった。
大まかには黒なのだけど、一瞬濃いネイビーのようにも見えるような。
複雑で、好きな人は好きだろうと思った。


黒は闇の色であり、そして眼を閉じたときの色でもあると思う。

きなりに染めた青みの黒は、夜、部屋を暗くして眼を閉じたときの色に似てる気がしている。


闇について、おととし書いた記事→令和4年6月9日(木)闇と黒色 - しぼりぞめこの制作日記

それではまた次回。