令和5年2月25日(土)寝て起きたような染め色

最近、自作の草木染めの布の色がきれいに経年変化したのでとても驚きました。それは3年前に茜で染めた桃色の木綿のしぼりの布です。毎年春だけ壁に飾り、またしばらくの間箱にしまってありました。染めて水通ししたあとは洗濯をしていません。

去年の春に出した時は「色がちょっと褪せてきたかな?薄い色で(※3、4番液を使用)2回染め重ねただけだし、このまま褪色していってしまうのかな」と思っていました。しかし、今年お正月を迎えて取り出してみると桃色が濃くなっていました。最初は気のせいかとか、明かりの具合のせいかなどと疑い、何度か時間帯を変えて見直していましたが、やっぱり去年の少し寂しい桃色とは違って、頬にさすチークのようにしっかりとあたたかい桃色でした。その色に染めた模様は一種類しかないので、布を取り違えたわけではありません。色が息を吹き返したようでした。

草木染めは色を煮出すのに時間がかかります。主に使っているスレン染料という化学染料よりも洗濯や日光に弱く、褪色しやすいです。私は草木染めの経験がまだ少なくて、回数染め重ねたり何度も干したりすることもしていません。けれど3年寝かせたらよい色になっていました。嬉しいけれど不思議です。一度褪せたと思ったのに良くなったというのもやっぱりよくわかりません。草木の色は生きているのだとも聞きますが、どうして色が変わるのか見当がつきません。何もかもがわからなくて、おもしろい。笑いながら続けてみたいです。

人間も疲れたときは良く寝れば起きた時に顔色が良くなりますが、3年前の絞り染めは良く寝て起きたときの顔色のような、健康そうな色をしています。「見て見て」と誰かに見せにいきたい色です。