令和5年6月3日(土)染色雑記。いま使っている染料は色落ちしにくい。タイパは無視。そして混色の調子がちょっとだけ出てきたかも

こんにちは。6月が来て、後ひと月経てばもう今年半分終わるんだなあと思って2023年のブログをぱあっと振り返ってきて、今日はちょっとラフに、まあ、ダラダラとした文を書いてみますのでどうか力を抜いてお読み下さい。

年始に藍染め師さんと染色のお話をしてから、スレン染料の混色研究を再開しました。化学染料では色を混ぜたほうが色が複雑になり、絞りに合う色になることがわかってきたからです。草木染めの色は絞りに合う色が出やすいですが、今染めてる木綿の布の素材には草木染めの色が定着しづらいので、ようやく使い慣れてきた化学染料を工夫していくことにしました。

草木染めはもともとひとつの色素ではなく複数の成分が混ざっており、雑物も含めて色になるために「間違っても変な色が出ない」と言われるところがあります。(※白洲正子の著作より)草木は生命活動していたものなので、そもそも色々が混ざっているんだろう……とその色から感じられます。

そういうことも考えつつ、絵の具を混ぜるようにおそれずに、染料を混ぜることをしています。染める布で色が変わるので、単色で染めた色を確認して、どのくらいの色を加えて混色するかを考えるということを繰り返しています。

この染料は染めた後、藍染めと同じメカニズムですが、最後に空気に触れさせて(酸化)発色させます。染料を染め液にすると一旦、出来上がりとは全く違う色になるので、染めている途中も反対色だったりします。「赤く染めたいのに布が緑色に染まっていくのを見ている」という不思議な作業です。そのせいで混色が難しいです。それから、明るい色相を染めるのが難しいと言われる染料でもあります。その代わり他の化学染料よりも色の耐久性がとても良いのが大きな利点です。具体的には洗濯堅牢度、日光堅牢度がいずれも高く、汗と日光が合わさっても、塩素系の成分にあたっても、色が落ちにくい。染めた布を使うのにとても楽です。染料というものは草木染めも化学染料も酸やアルカリに弱いものですが、温泉とかで使いたいし、思い切り汗もかきたいし、急に何らかの酸かアルカリに偏った液体がこっちへ飛んできたら布で体を守りたいわけです。それでも絞りの色模様が負けないなら逞しくて、とてもいいなあと思うんです。(どんな状況!とは思うけど)

でも、混色のバランスを間違えると変な色に染まってしまったりもして「色づくりが難しい染料をわざわざ使わなくてよいのでは?」と肩を落とした時もありました。しかし、草木染めを採用しないのならば、そのかわりに草木染めのデメリットである変色しやすさに対して、徹底的に変色しづらい染料で染めることで絞りを美しく保ちたいと考えたので、難しいけど、もう少し堪えてやってみようとしていました。

幸い、混色のコツをだんだんに掴んできました。混色が上手くいくと、薄っぺらい印象になりがちな化学染料でも色に深みがでます。明るい色相の難しさという問題も、余計なムラが出ないようによく撹拌しながら染めることで解決できつつあります。最初、あまりにうまく行かなくて「さすがにもうちょっと制作のコスパ、タイパが良くなんないものか?」とモヤモヤしたこともありました。いつもならそんなことは思わないほうですが、これまでの経験では何ともならないしネットにも答えはないし、暗闇で手探りで色を作っている感じに不安になりました。

でも今は結局

  1. 感覚であたりをつけて染料を調合し
  2. 実際に染めてみて
  3. 色見本をつくりデータをとる
  4. 染めたい色ができるまで改善

というところに落ち着いています。地味な話です。案ずるより産むが易しということなのですが、最初の十歩くらいまでがわりときつくて、だんだんと登り坂みたいにわかることが増え、景色が良くなってきます。そうしているうちに「コスパ・タイパとやらを良くしたいのが優先ではないんだ、模様染めるのにいちいち手で絞ってる人間が何を言うか」というひとまずの結論がでました。いやこれはこれで雑だけど。

あっ、だから、よく考えたら、スレン染料は大量生産の場での染色が困難なだけかもしれません。色がなかなか合わないとか、1枚あたりのコストが多少高いとか、個人でやるぶんにはなんとでもなりそうな気がしています、こうすればこうなるのだという経験則を発見していくと技術がついてくる感じです。

私ひとりだからこそできることを大切にすることだ(大量生産の強いところを真似しようとしない)。

と、今日は主に、色の堅牢さや混色研究について書きました。その上で、次回は「絞りをどんな色に染めるのか」ということをどう決定していくか?というお話をしたいと思います。2月〜4月頃の制作の変化について書きますね。今回は思っていた以上にグズグズとぼやく記事になってしまいすみません、読んで頂いてありがとうございました。それじゃ。