令和4年7月15日(金)植物の命とは?〈後〉

昨日の続きです。私が初めて挑戦した草木染めの黒豆の皮の色素には、アントシアニンが含まれています。アントシアニンは、秋に葉っぱが紅葉するときにつくられる赤い色素でもあります。緑の葉にはクロロフィルという色素が含まれており、葉緑素光合成をします。夏が過ぎ気温が低くなってくるとその働きは衰え、落葉に向かいます。光合成ができなくなって落葉するまでの期間に葉が赤くなるのは、日光の紫外線による植物へのダメージを防ぐためだという説があります。アントシアニンが作られるほんとうの理由は解明されていないそうですが、アントシアニンは紫外線を吸収できる機能をもっています。

昨日の日記に、植物の色素の総称はフラボノイドであり、フラボノイドとはポリフェノールの一分類だと書きました。ポリフェノールは抗酸化作用があるので、生命維持のためにあると考えて良さそうです。

植物は24時間365日、外で生きていますから、その生命維持をするメカニズムは本当に人間よりも死活問題。色素はどうやら、生命維持に深い関係があるらしい。

すると、植物の色で絞りを染めるということは、植物の生命維持のための物質を使って染めるということなのかも。染色に欠かせない色素は、かなり大事な仕掛けを植物の身体の中で担っているということになります。

今、あらためて命とはなんだろうか?と自分なりに考えてみると「生きたいと願う身体そのものの意思」かなあと思います。

色=生きようとする意思=命なのかな、と。もしかしたらですけど。こういう今まで考えてもこなかったことを考えてしまうのは、自分でも不思議です。草木染めのもたらす特異な部分なのかもしれません。

今回の「植物の命とは?」という日記の元になった文章を書く染織家というのは志村ふくみさんです。志村さんは、“その時はじめて知ったのです。桜が花を咲かすために樹全体に宿している命のことを。” とも書いておられます。(『一色一生』求龍堂「色と糸と織と」より引用)

それを読んでいると、「色は命である」といっても、あながち飛躍ではないのではないか?という気がしてきます。

※生物の勉強がたりないので、あちこち間違っているところがあるかもしれませんのでご指摘頂けるとうれしいです。まあ、これはいつもなのですが、よろしくお願いします。