絞りを習ったころによく言われたのが「ギャザーを寄せる」ということで、糸で縫った布をさあ絞り上げるぞという前に、ギャザーを寄せておく。それがどの技法でも私の絞りの必須の作業になっている。
布を縫って糸を縮めると、とても綺麗な布の形ができる。ギャザーの調子を整えるときれいな絞りになる。ギャザーを整えているときの布にできる陰影を見るのが好きで、目を細める。
私の好きな大島弓子という漫画家の短編連作集『綿の国星』に「ギャザー」というお話がある。双子の猫と友達になりたいオス猫が何を話しかけていいかわからなくて、「ぼくはカーテンって好きなんだ、カーテンを寄せるとドレープってのができるだろ…それって君等みたいだなと思うんだ」と必死になって話しかけるシーンがある。読んでいた昔の私には何を言っているかすごくわかった。
しばらくそれを忘れてしまっていて、昨夜もギャザーを寄せていて思い出した。