令和5年5月2日(火)絞り咲きの花

「絞り」というワードを見かけると、つい反応して目が覚めてしまう。北東北のわりに今年は春が早かったから、4月からもう次々と色んな花が咲き世界が華やかになり、花のことを考える時間が増えた。

しばらく前に「絞り咲き」と聞いて、ああ花のことねと気づいた。花の色が1色ではなくて、白と赤、または白と青、などの2色がバランス良く混ざっている花のこと。時々黄色と赤というような白の入らない組み合わせもあるけれど、白地に色の組み合わせが好きで、一番古い記憶では、お向かいの平屋の植え込みにあったオシロイバナ。白いのと、青みの赤のとがあった。時々白と赤が混ざったのも咲いていたけれど、あれが絞り咲きなんだなあと記憶を分割する。種を割って粉で遊んでいた私は、固くて皺っぽい真っ黒な種ばかり探していた。

絞りのアサガオは青い色も多くて、藍染の絞りの浴衣みたいだ。白が隣にあることでレフ板がすぐ近くにあるのと同じ状態の青色は、より鮮やかに感じられる。白、青、葉っぱの緑で爽やかだ。白の存在はすごい。絞り染めは防染したところを白場と呼ぶが、それをきれいにつくることが良い絞りのポイントになる。白地に青の絞りの浴衣や手ぬぐいは、懐かしい日本の感じがする。

花弁の色が2色にわかれている花を、いつ頃から絞り咲きと呼ぶようになったのか。江戸時代後期〜明治時代に産業化された絞りは、有松地方を中心に様々な技法が研究された。反物にギャザーを寄せて糸でグルグルと巻いて絞り上げる、手筋(てすじ)絞り、またはみどり絞りと呼ばれる技法の絞り染めが、絞りのアサガオに似ている。アサガオのような美しい絞りを作ろうと考えたのだろうか、それとも当時新しくできた技法の絞りとアサガオがたまたま似ていたのだろうか。

オシロイバナアサガオだけではなく、もっともっと色々な絞りの花があるらしい。ツバキ・バラ・ナデシコ・パンジークリスマスローズ。あなたの好きな花にも絞り咲きはありますか。