令和5年4月27日(木)さらし考 〜晒とは何か〜【後編】

こんにちは。前前前回の記事の続きです。微妙な間があきました。

前半の記事では「晒す」という言葉の意味を自分が知っている範囲で書いたりしていて、大まかな内容は2つ。1つめは「晒とは布そのものではなく、作られる際の工程を呼び名にしたものである」ということ、2つめは「大昔は布を天日で干したり雪の上に置いて白くしていたが、現在の製法は?」ということです。さらしという布を知るための記事の後半です。よろしくお願いします。

前回の記事→令和5年4月5日(水)さらし考〜晒とは何か〜【前編】 - しぼりぞめこの制作日記

 

あらためて、晒し(さらし)、晒す、という言葉の意味を辞書(『広辞苑』第六版)で調べてみました。

さらし【晒し・曝し】①さらして白くした綿布または麻布。現今では白木綿に限る。吸湿性・通気性に富み、多く夏に用いる。②江戸時代の刑の一つ。縛った罪人または斬罪者の首を路傍にさらし、その罪をひろく世人に示したもの。③磯の岩に波が当たり白い泡が広がっているさま。

(※以下、【さらし】のつく言葉が列挙されるのでいくつか紹介する。)さらしあめ【晒し飴】、さらしあん【晒し餡】、さらしい【晒井】(夏、井戸替えすること)、さらしうり【晒売り】(江戸時代の奈良晒商人)、さらしかか【晒嬶】(洗い張りを業とする女)さらしくじら【晒し鯨】、さらしねぎ【晒し葱】……他。

さら・す【晒す・曝す】①日光や雨風のあたるままにしておく。②日光にあてて干す。③布などを水で洗い、日にあてて白くする。また、料理で、材料を水などにつけて、あくを抜く。④広く人々の目に触れるようにする。また、晒しの刑に処する。⑤危険な状態に置く。⑥くまなく見る。

おお!少し調べてみただけで、言葉の意味が多い。面白いです。

織った布を染めやすくするために、染色に必要ない物質を取り除く「精錬(せいれん)」という工程がありますが、晒しは精錬が済んだ布ということになります。

晒は、素材の名前ではないのです。綿(木綿)は綿花、麻は亜麻(あま)・苧麻(ちょま)・大麻(たいま)などがありますが、それぞれ材料となる植物の名前がそのまま名前についています。絹はちょっとまた由来が違うようです。(中国語由来らしいのですが、今回は省略)一方で、晒というのは織られた少し茶色い布を真っ白くするための「晒す」という工程が呼び名になったものです。

晒をつくるために、大昔は打ち水を頻繁にしながら日に当て続ける、または、雪の上に布を置いておくなど、手間が物凄くかかったり、季節が限られたりしていました。現在はどうやって作っているのか、晒しを作る工場のサイトをいくつか見てみると、釜で沸かしたたっぷりのお湯で煮て、布を白くするようです。日に当ててないみたいですね、長い布を干すと、安定して大量に生産するのがむずかしくなるからでしょうかね。手ぬぐい生地などの和晒しに対して、洋晒しという布の仕上げ方がありますが、和晒は洋晒しに比べると

  • たっぷりのお湯で
  • 長い時間をかけて(2〜3日間)

煮ることで、洋晒しよりも繊維にストレスを与えないとのことです。和晒しの方法をとることで、ふんわりと肌触りのよい、吸水性の高い布地になるんですって。和晒は確かに、水を通して使って行くにつれ、肌触りが気持ちいいです。洋晒しの布は細か〜いプリントが綺麗に出るかわりに、ちょっとペターっとした仕上がりですね。ピシッとするとも言えます。

 

前後編、晒について書いてみました。いかがでしたでしょうか。布を、繊維をもっと知りたい、こんなんじゃまだまだ足りないよな~、という気持ちです。木綿の晒の生地は、ものにもよりますがお安くて、高級なものと思われにくい気がしています。しかし手間がかかっているんですね。日本語ともとても深い結びつきがあって面白いので、皆で使って良さを知り、手ぬぐいを外国の方へのお土産にする時にサラッと説明できたりするとより良いのではないでしょうか。なんか常識的なシメになりましたかね。

次回は絞り染めブログらしく、絞りについて書きますね!お読み頂きありがとうございました。ではまた。