令和5年5月9日(火)縫い絞りは面倒くさいか?

布に描いた輪郭の線の上を、細かいときは1ミリの針目で縫い、その縫った糸を引いて絞っています。それを染めると絞り染めの模様ができます。「大量生産の機械プリントや、一度に何枚も染められる方法があるのに、何故そんなに面倒くさいことをやってまで絞り染めをしたいの?」という疑問をもつことが、このブログを読む人の中にも少しはいらっしゃることと思います。しかし、そういう疑問は作ってる側、つまり私に向かって投げかけづらいのではないかと思います。多分、なんとなく。

私の実感としては、絞りが面倒くさいとは思いません。手で縫うことが好きだし、仏教の瞑想のような効果があって逆に気持ちが落ち着くくらいです。しかし作業に必要な時間は長いです。1メートルの布の模様を絞るのには少なくても2時間〜、時間のかかる模様になると頑張っても2日〜1週間くらいはかかる。どうしたって安くは作れません。そうであれば、絞り染めという技法自体の持ち味が布の上で魅力的に見えてこないかぎりは、求められることもないだろうなと思います。

特定の作業が辛いか、それとも苦にならないかというのは能力というよりももう、感覚の問題ですね。私の家族に縫い絞りの作業をしている途中の布を見せるだけで「ア゛ーーーッ!」と叫びたくなるくらい、人によっては耐えられないようです。絞りの小さな突起がポコポコと並んでいるのでトライポフォビア(集合体恐怖)的なゾッとする感じもあるのかも。

人は体質によって作れるものが違うもので、向き不向きというものがあることを改めて実感します。