令和3年7月21日(水)

平安時代は絞りの価値が低かったらしく、それを本で読んだ瞬間ちょっと悲しかった。しかし、清少納言枕草子のなかで絞りの染め上がりが楽しみだという内容を書いている。どうも気になってしまって平安〜江戸時代の絞り染めを調べた。平安時代絞り染めは公式な場所で身につけるものではなく、織りの着物がいわゆる他所行きだった。染めか織りのどちらかで布地が作られるのは今と変わらないし、模様染めの友禅や注染の技法は意外に歴史が浅くて江戸、明治より後だ。したがって当事の多くは絞り染めであり、後々絞りの技術が向上してくるのは安土桃山時代頃なので、技法もまだ原始的だったかと想像する。他のろうけつ染め、夾纈(きょうけち)染めに関しては染色材料や道具が手に入りづらかったのでほぼ無かったと推定できる。格が低くても遊び着や寝間着など生活をたのしくしてくれる存在だったのならそれはそれでうれしいのだが、当時の衣服の現物は残っていず、気軽な衣服は当時の研究材料である絵にもあまり載ってなくて情報が少ない。