令和3年7月20日(火)

興味のあることをみつけたらその歴史を調べると良い、ということを今更ながら実感しつつある。絞り染めが古代から今にいたるまでどのような変化をとげて来たのかを把握するには非常に大きな時の流れを見る必要がある。絞りの価値は上がったり下がったりしていて平安時代の宮廷文化では下に位置し、戦国時代から安土桃山時代にかけての頃は上のほうに位置している。ひとの衣服は時代によって下衣だったものが上衣に変わったりする面白さがある。「辻が花」とは複数の技法を取り混ぜた豪華な絞り染めのことを呼ぶのだが私はまだその示すところを何となくしかわかっていない。戦国武将は辻が花の着物を着ていた。とくに家康の絞りの胴服や羽織の実物がたくさん残されている。「染織の美」19号(昭57)の資料写真を眺めてみると、弓矢や縁起のよい植物である葵の文様、それからシックな単色の鹿の子絞りの衣装もあって多彩だ。日々戦闘をしていた人の絞り染めをまとった姿を、この暑い夏の間に少しずつ想像しよう。