令和4年9月14日(水)技法は雨、デザインは治水

時々は、技法を布にうつすようなことをしている。技法というものは、そのままでは大雨の中に立っているみたいなものだと思う。漠然とした雨の模様にうたれるような感覚だ。

「どういうこと?」と思われるかもしれないのだけど、昨日も技法をそのまま布にうつすようなことをしていて、そうしているとなんだか気持ちがずぶ濡れになった。

たくさん、ひたすら、縫って絞る。そしたら思ってもいないものができてしまって、こんなはずではなかったのだが?と思う。だけど染めて絞りの糸を解いたものが眼前に出現すると、頭で考えているよりもすごくいろんなことがわかる。とてもわかる。「これはまた別の模様に活かせる」とか、「90度回転させれば当初の狙いに近くなるかも」とか。それは練習とも言えるし実験とも言える、大味感覚のものが出来ていく。そもそも繰り返さないと技術が手の身につかないので必要なことだ。

でも本当は、手わざで生まれる雨のような模様は、音楽のように、あるところで止めたり、間をつくったり、違う模様を組み合わせたりしないと、私にはきれいだなとは思えない。治水のようなものかもしれない。川の。