令和5年10月9日(月)広がる大きな布/小布を継いで広げていくこと、両面の可能性

大きな布が染められるようになってきました。どんな布をどう絞ったらどう染まるか試すときは小さい(45センチくらいまでの)布にします。だから、染色に慣れてきたら大きな布を染めたかったんです。

絞る布が大きくなると、染めたあとの糸を解く行為が更に楽しくなりました。この工程を「糸抜き」と呼びます。6メートルの長さの布はふわりと部屋の中に広がり、縫い絞りしたとおりに防染された、白・地の染め色の2色があらわれていくのを喜んで目で追いました。

大きい布を染めれば、たくさんの可能性があると思っていました。実際、6メートルあれば洋服を作ることも可能ですし、和服なら半幅帯を作ってその余りでおそろいの手ぬぐいも作れます。同じデザインのハンカチを一斉に大勢の人に配ることだって出来ます。やっぱり大きい布だよね!と、しばらく浸っていたのですが突如「たくさん溜まったこの小さな布の行き場はないのだろうか?」と思いました。

箱の中の小布を1枚1枚眺めると、大きな布にはない無計画さがあり、不安定で不規則な模様は再現性が低いぶん独特です。とくに面白いと思う10センチほどの絞りの布を選んでみました。それを同系色の刺し子布と縫い合わせて大きくしてハンカチに仕立てたら、いつでもその模様を身近に眺められる楽しみができました。

小さな布は小物にしかならないというわけではなく、パッチワークという技法もあるように、小さな布をだんだん大きくしてしまうやり方もありました。こんな単純なことに気づいてなかったんですよね。そもそも布が貴重だった時代は、布をはぎ合わせたり継ぎをあてていたはずで、一度切ったからその布の人生が終わるというわけではないですよね。

割れてしまった陶器や磁器の「金継ぎ」が最近はブームです。ちなみにあれは金でくっつけるんではなくて漆(接着剤のことも)でくっつけて金のお化粧をするみたいですが、もっと様々な陶器の欠片を相性よく継いで器にするような「呼び接ぎ」というやり方も古い時代からあります。布の組み合わせの参考にしたいです。


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(反対側)
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上の2枚の写真が、その「絞りと刺し子の継ぎハンカチ」です。文庫本を2冊包んで持ち運びました。韓国に「ポジャギ」という極小の布を縫い合わせた伝統的な布があって、そのやり方を調べて布を縫ってつないでみると、つないだところの布の段差があまり気にならないので参考にしました。もっと大きな布になるように繋ぎ合わせたりもしてみたいなと思います。

絞りは制約が多いから、個人のできる模様のバリエーションはそこまで多くはならないかも知れないし、模様の活かし方というのはなるべく柔軟に考えていったほうがいいだろうなと思っています。それではまた。