令和4年7月14日(木)植物の命とは?〈前〉

2年ほど前のこと、植物の色を用いて染織作品を作る人の言葉を読んでいました。その本には"植物の命と、自分の命が合わさる" ということがないと、植物の色は染められない、とありました。

しかし玉ねぎの皮や茜の根、黒豆の種子、お茶の葉など、草木染めの染色に使える材料は皆、植物の体のごく一部であり「植物の命」なのだという実感は私にはありませんでした。じゃあ「命とは何だろうか?」と考えたりしても、かえってよくわからなくなっていきました。

まあ、そのことはあまり気にせずに、草木染めに挑戦していきました。でも、しばしばうまく染まらなかったりしたので、植物の色素について調べました。黒豆の皮を煮出してとれる色素はアントシアニンという色素で、赤系の色素でした。アントシアニン色素は様々な植物に存在し、果物やお花などにも多いのですが、アントシアニンといわれてもあまりわからなくてさらに調べたらフラボノイドの一種とありました。なんか聞いたことがあるぞ……と、今度はフラボノイドが何なのかを調べたら「植物色素の総称で、ポリフェノールの分類のひとつ」。さらにポリフェノールの分類のひとつであるフラボノイドには赤系のアントシアニンのほかにも、黄色系のケルセチン(玉ねぎの皮にふくまれる)とクルクミン(うこんにふくまれる)、緑系のクロロフィル葉緑素にふくまれる)などがあるとのこと。赤ワイン色のイメージが強かったポリフェノールとは、植物にふくまれる色素や苦味などの成分の総称だと知りました。

と、このへんまでは、染色または理科に詳しい人には常識かもしれません。私はノンビリと「勉強になったなあ〜」と思っていたのですが、最近ふと「それが命なのかもしれない」とちょっとだけ考えてみることにしたのです。続きは明日。