令和3年6月23日(水)

草木染めで染めているときは化学染料で染めている時とくらべて気分が良い。気分などというと曖昧なようだが全く違う体験に感じる。料理で使った玉ねぎの皮で金茶に染める。染料店で買った茜の根で赤く染める。化学染料が基本的には水(お湯)に溶かして使うのに対し、草木染めは煮出して染液を作る。出汁をイメージしてもらうのが良い。鰹でとって濾した1番出汁のように、透き通った色の染液はきれいに染まる。2番出汁は煮物に。煮物はあまり煮立てずゆっくりと味を染みさせるが草木染めも全く同じである。化学染料は早く濃く染まるので忙しく、鼻をつくような刺激臭もある。茜染めをしたとき、お茶のような匂いがたちこめた。色が薄かったら上からまた染め重ねる。天然染料は漢方薬として使われてきた植物が多い。草木染めをした布地が人体の健康によいかということまでははっきりわからない。煮物に味をふくめるように穏やかな気持ちの中で染め物はできあがってゆく。