令和4年8月17日(水)模様とは、絵と文字のあいだ

文様・模様とは、雨模様や心模様などという捉えにくいものまで図として整理したアイディアのことではないだろうか。染色作家の柚木沙弥郎さんは「模様とは絵を煎じ詰めたもの」だと言っている。確かに絵にしてから文様・模様になっていくということもあるし、そのまた逆もあるようだ。文様と模様というふたつの単語を並べるのは、私にとって使い分けがいまだに説明がつかないからだ。ここからは一般的に使う回数の多い模様と表記する。

模様は何を伝えるのだろうか。昨日更紗についての本を読んでいて、インドのスカートの模様が特定のカーストを示したり、どこでも移動場所に持っていけるタペストリーのような掛け布は宗教的な祈りの模様だったりする。センシティブだったり規模の大きな世界を表す、ちょっと難しそうなことも模様でサラリと伝え得るのかと驚きながら眺めた。

言葉は便利だけれどそれだけでは限定的で、国が違うと伝わらなかったり知識がないと誤読したりする。言葉にすると無粋だったり、台無しになる情感というものもある。日本にも「言わぬが花」のような共通認識はまだまだシチュエーションを変えながら生きているし、SNSでのやりとりにカメラ画像やスタンプを多用するようになって久しい。文字と絵をうまく繋げて表現したり感じ取ったりする能力が高い人も増えているが、それだけだとどうも滑らかとは言えずざらざらしたいまいち気分のすっきりしない感じも残る。

子供が朝の支度をする時にNHKEテレで『ピタゴラスイッチ』を見る。『あいだのじいさん』という何かの間にいるのが好きなじいさんの歌で、「間があったらはいりたい」と歌う。「わらじの間はゴワゴワだ、布団のあいだはフワフワだ」と歌う。確かに、オノマトペで表されるような感じは、何かと何かの間にいかにもありそうだ。

模様が何か、という問いの答えはひとつではないと思っている。

言語に押されて見逃されがちなことを、他人と共有できるものが模様なのではないかと今朝は考えてみた。