染料で色水遊び

スレン染料という合成染料をもう6年も使っている。
色落ちや色褪せがほとんどしないところが、実用に向いている(それでも全くしないわけではないがとても丈夫)。

機能的には申し分ない染料で、あとは魅力的な色の工夫だ。
最近、この染料で染めた時、空気で酸化発色する際に、なるべく絞りの中まで空気に触れるように気をつけて、30分間たえず動かしている。
以前はよくわからなくて放置する時間も多かったけれど、ここで頑張ったほうが透明感のあるよい色になるとわかった。
酸素分子となるべくたくさん出会わせることで発色を促すようなイメージを持つ。(※説明書には「絞りの中に空気が通るように広げながら発色させる」ということが記載されている)


もっと「いいな」という色合いにするには、染料同士を混色して奥行きを出したい。
でもけっこう難しくて、これまでに作れた「すごく良い色」は2色くらいで「まあまあの色」は4色くらいある感じだ。
布地との相性でも良さが変わってくる。

染め色づくりの進みが遅いことに悩んでいた。
実際に色々染めてみることが一番なのだけど、それだけだと正直しんどい。

絵の具なら、ちょっと混ぜて試しに塗ってみればすぐにわかるのに。
染料というのは難しい。


しかし、もうずっと使っているのに難しいなと思っているのは、なんなのか。
どうして相変わらず難しいのか。
染料を知ろうとしていないからではないだろうか?とふと思った。


なぜこの染料の色は、知りにくいのだろうか。
この染料は、天然染料と違って、合理的に早く染まるぶん、染めるための染液を仕立てたら劣化が早い。
考える前に染めないといけない。

染料を水と薬品で溶かして還元して染液にして、染めたらすぐに空気中で動かして酸化させて発色させる。
色がくるくる変わって、作業中はどんな色に染まっているのかが全くわからない染料だ。

この染料の事情なのだから仕方ないことばかりなのだけど、どうしたらいいんだろうなと思っていた。
便利で合理的だけど、いまいちそのテンポについて行けていないのか。

そうすると、単純に、準備が足りないのかもしれない。

ふと思いついて、染める前の染料を、薬品を使わずにただ水で薄めてガラス瓶に入れてみた。染液づくりではなく目で見る色彩テストとして。





いきなり染液をつくらず、色水遊びの要領で混色具合をチェックしたら、混色具合をゆっくり見ることができた。
布は光に透けるので、ガラス瓶を通した色は染め色に近い気がした。
また、薄めた染料をピペットで紙に垂らしてみたりもした。








染めなくても大体の色を見るということはできるんだなとわかった。
なぜか、今まで気づかなかった。
2色、または3色も混ぜた色々な混色の具合をノートにメモして、今度染めるときの叩き台にする予定だ。

実際には多少色味が変わるのだけど、混色の比率をあれこれ考えるにはじゅうぶんヒントになると感じた。


この色水遊びは自己流のやり方で、他の人がどうやってるのかあまり知らない。
使っている人がいたら、お話してみたい。

これは本当になんとなくなのだけど、料理をするときに、持っている調味料がどんな味なのか知るのに似ている気がする。使う前に舐めてみて、それを料理に入れたときの結果を想像することにちょっと、似ているなと思った。


それではまた。