令和6年1月16日(火)「絞り染め」を説明できますか?

絞り染めを始めて2年目くらいから、長い歴史があるのに現代ではまあまあマイナーな存在の絞り染めのことが、改めて気になってきました。
絞り染めって何なんだろうか?
私は一体、何をやろうとしているのだろうか?

絞り染めとは何か」に対する答えは、インターネットも使えばわりと簡単に調べられます。
着物屋さんや伝統工芸の職人さん、日本文化を紹介するサイトなどなどを見れば、それぞれわかりやすく書かれています。
そういう文章を読むのが趣味なのですが、色々な辞典で調べるというのもかなり好きです。今度時間をつくって、図書館の辞典コーナーにいってゆっくり見る予定です。

それでこの間、自宅の本棚にある『日本染織辞典』にこれは良い説明だなぁと思うものを見つけたのでここで一部を引用してご紹介しますね。
書き出しの、始めのところが良いのですよ。

絞り(しぼり)
染斑(そめむら)に暗示されて発生した一つの染色技法である。
すなわち、布の一部を糸で括り、または巻き締めて防染(※注)して染めたものである。
※加工部分を染め残すこと
我国では天平時代にすでに行われていた纈(ゆはた)、目交(めゆい)、目結(めゆい)と呼ばれたものであって、夾纈(きょうけち)、臈纈(ろうけち)とともに三纈とも称された染色技法の基本の一つである。
〜以下略〜

上の引用文は、辻合喜代太郎(1908〜1993)という服飾史の研究者によって書かれました。
この辞典は辻合喜代太郎のほか、上村六郎、辻村次郎の3人の共著です。項目ごとに誰が書いたのか、文責の名前が書いてあります。

2文目以降は、絞り染めを説明する文章にはだいたいこれと同じ内容が書いてあって、ここから説明を始めていることが多い気がするんですが。
辻合さんの説明の良いところは「何故、絞り染めが発生したか」について有力な説を最初にズバッと書いているところです。

良い染め斑(むら)が絞りの美しさだと私も思うのですが、染め斑に暗示された、という言い方はかなり意味が凝縮されています。
「暗示」という言葉は「別のものを示して、それとなく感づかせること」
または「感覚・観念・意図が無意識のうちに他人に伝達される現象」(※広辞苑第六版より要約抜粋)ということです。
もともと絞り染めは、かなり原始的な技がその後芸術に高められたものなので、世界各地で自然発生的に始まったものだと言われています。

この説明に素晴らしく痺れたので、忘れないようにブログに記録しておこうと思いました。
自分が絞り染めとは何か聞かれた時はきっと、これを踏まえて説明したいと思います。

今回はこの辺で。また次回。