令和6年1月12日(金)化学のイメージは変遷している/料理研究家リュウジの本

今回、主に本の感想と雑記です。

年明けに、料理研究家リュウジ著『料理研究家のくせに「味の素」を使うのですか?』(河出新書)を読みました。
面白かったし、普段SNSYouTubeの御本人の雰囲気からすると意外に感じるような、落ち着いた内容の、読みやすくはあるけれど硬派な文章でした。
なかでも興味深かったのは「化学調味料」というものにマイナスイメージを持っていなくて、むしろ良いものだと思っている、というリュウジさんのマインドです。
味の素についてよく調べられていて、著名人の味の素の使い方なども挙げつつ、「ダシ成分のある食材に味の素は使わない」など、効果的な使い方があるのだということを強調されていました。
「化学」というキーワードに興味があるので自分の染色の問題と重ね合わせて読みました。

本を読んだあとに自分のことを考えたところ「世の中の人が化学染料というものに対してマイナスイメージをもっている」という前提で生きてしまっているんだなということが、去年、化学染料と天然染料を比べてモヤモヤしていたことでとてもよく解ったことを思い出しました。
リュウジ本によれば、1960年頃以降、自然志向や健康志向がすすみ、化学的なものに対する不信感をもつひとが急激に増えたということです。その前はどうだったかというと「化学」は経済成長のシンボルであり、先進的なイメージで、ポジティブな言葉だったとありました。
この時代ってだいたいちょうど、私の親が若者だった頃から出産した頃くらいまでなんですよね。多分ですが、だから私は自分で考えることなく、なんとなく「化学調味料」とか「添加物」という言葉に薄っすらとネガティブなイメージを抱いていた、ということかと。親の世代的考えの影響を、意識しないまま強く受けていたのかもなと思います。
リュウジさんは私よりも歳下なのと、お仕事の性質から、化学調味料に対する考えが深まったのかなと思います。

世間のイメージや認識というのは数十年とかでコロコロ変わってしまうんだよな、と思います。そういうものからとりあえず自分は脱してみるよ、という姿勢はすごくいいですよね。見習いたいです。それではまた。