令和5年12月2日(土)いちばん頭の良い手

基本、個人的なブログではありますが今回はいつもよりも個人的な話。

何かをするときに「頭で考えて計画する」ということが私は得意ではない。今から20年以上も前、メールやSNSがなくてほとんどが電話でのやりとりだった頃。電話が終わると事務的に必要な決定事項のほかに、無意識にボールペンで描いた大量の線や一面の点描の描かれたメモ紙が何枚も手元に残っていたことを思い出す。電話を切ったあとにそれらを見直すと「誰が描いたのだろう」という気がしたものだ。描いたのは自分しかいないのに、自分がこんなものを描いたという記憶が全くといっていいほど頭に残ってなかった。

あれはつまり、手が考えていた。長いこと楽器演奏が好きだったのもそういうことと関わりがあるのかもしれない。

 

初めての出産をして間もなく絞りを始めたときに、手を動かすことはたいへん気持ちのいいことだなあと改めて実感した。

どのくらいの速さで、どのくらいの緩急で、どのくらいの糸のテンションで絞るのか。全てを手加減で調節するのが楽しい。しかしながら社会生活は言語を介して成り立つわけで、あまりに頭がお留守になるとあちこちに支障がでてしまう。

頭で考えられることよりも数段複雑なことを短時間にやってのけているという理由で、私の身体の中で一番頭がいいのは右・左の手である。そんな手に頭がついてゆくためにも、言葉を使ってこのブログを書いていきたいと思う。

頭がほんのちょっとずつでも良くなれば、そのぶんだけ手も良くなっていくはずだからと。そのように思っている。