令和5年9月1日(金)しぼり布と出会うYouTubeチャンネルを開設しました

少しでも絞り布を外に出すことを心がけている。布を外に出すとはなんだろうか。私の絞りの布に誰かが出会ってくれるということだ。

布は他の工芸品よりも、いつの間にか人の目に触れるという特徴があると思う。建築とかと似てる気がする。自然と包まれ、目に入っている。

私が着物を綺麗だなあと感じたのは漁港のある町の日本料理店で働いていた頃だ。歳をとった大女将さんが一階のホールで居眠りしながら半ば人形の置物のように存在していて、時々来るお客様には立ってご挨拶をする横で、私は忙しく料理を盛りつけたりしていた。夏の薄物の着物と身体が動くたびに透ける襦袢が目の端にチラチラ、チラチラと夜の灯りとともに見えている。そういう日々を過ごしていたら布が好きになっていた。

布はなんとなく見るのがいい、と思うのはそういうことがあったからだ。

着る、敷く、かける、拭く。動かしながら布は私たちに染み込んでいく。集中しすぎる事以外にも出会いというのはあって、むしろそのほうが残っていくのではないかと思ったりする。

9月になったので、あと1年の残りは3分の1。子供と室内に引きこもることも多くなりそうだけどなるべく、染めた布を外気に触れさせることを続けてみたい。布はガラスや陶器や木工品と違って形が変わる。歪んだりひらめいたりしてそこがいい。

 

本当は実物をお届けできたらよいけれど、ちょっとした休憩時間などにスマホで見られる絞り染めの動画をここにおいておきます。

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