令和3年6月12日(土)

草木染めの色の良さは本質的に何なのだろう。色が優しいとか柔らかい色味だとかよく聞くのも、けして間違いではないけれど。染織家の志村ふくみさんや、草木染めの名付け親の(そして継承者の)山崎家の方々が文章で表す草木染めを読むことが一番だとは思っている。しかし染めをする人間として、今の自分の言葉で説明するならどんなふうに伝えるだろうか?ハンカチを何枚か草木染めして身辺に一定期間置いて気づいたのは「草木染めの色の布を使うことは家に花を飾ることとよく似ている」ということだ。万葉染めの村上道太郎さんは「色とは命である」と書いている。命の力。造りものの花ではない、本物の花から貰い受けるあの特殊な力なのだ。色は命。でもまあ、好きだと思う花や色をそばに置いて生活や夢を楽しむあなたの命こそが大切なのではないか。染め修行スタート地点の私は、そんなふうに思うのだけど。