初めての絞り染め(黒豆染め)④リベンジした結果

2018年6月、手探りで染色を始めたばかりでした。

草木染めの絞りにしたかったので、地元の岩手の黒豆で染めてみることにしたのですが、絞り模様の中にまで色が染み込んで失敗してしまいました。(絞りが泣く、というそうです)

 

7月2日

失敗のままでは落ち着かないので、すぐに2度目の黒豆染めをしました。

布も前回と同じく、さらし木綿です。絞りかたも同じにして「七宝繋ぎ」という古典模様に。技法は平縫い巻き上げ絞りです。

絞りは同じ模様の作業を繰り返したことで、より手慣れて来ました。

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平縫い巻き上げ絞りはこんな感じです。染めた後の糸をほどいているところ。

 

初回の染めで、呉汁につけてから染めると濃く染まることが解ってきたので今回もそれを取り入れました。

と言っても今回ぶんの布も前回の染色時にまとめて呉汁に浸けておいたので、その布を使いました。呉汁に浸ける作業はその都度やるのがいいのか、ある程度まとめて呉汁処理した布を保管しておいてもいいのかは解らないのですが、あまり長くない期間で使うのならまとめて処理しておいたほうが楽だと思いました。

大豆は煮豆で使いきれなかったものを使いました。食べる為ではないので多少古くなった豆でも良いのだと思います。

その時の大豆は2年ものだったので呉汁を取ったあとのカスを卯の花のように煮て食べましたが、水につけた生豆をミキサーで粉砕したものなので粒が大きくご飯のおかずにしたとき、知らない食べ物のようでした。

 

染色に話題をもどします。

今回は草木染めだけでなく、絞り染めの技法に関する本も読みました。

すると、絞りを染める時は「高温、短時間で染色する」という情報に行き当たりました。(「絞り染め大全」安藤宏子著より)

※「絞り染め大全」の補足しておくと、これは草木染めでの染色に関する表記ではなく直接染料(化学染料)で絞りを染色する場合についての解説だ。スレン染料、反応染料においても短時間で染色する指示文があった。

※上記を参考に、草木染めでも絞りの染色は高温・短時間が良いのではと自分なりに予想した。

 

どのくらい染め液につけたらいいのかということは絞り染め制作においては重要だと思います。高温かどうかは染料にもよるとして、絞りの場合、濃い色に染めたくても長時間染液に浸して染めるのはいけないようです。

前回は熱い染液に浸けたまま一晩近くおいてしまったので失敗の原因はそれでしょう。

その後1年くらい染色をしましたが、草木染め、化学染料染めに関わらず染め時間は1回につき15分~40分程度までがいいようです。そのくらいなら絞り模様がきれいに白く出ます。しっかりと絞ってさえいれば…

前回は薄いピンクに染まったので、もう少し青みがある紫に、濃く染めたいと思いました。

媒染は、前回と同じくミョウバン媒染です。

 

前回と変えたところ

  • 豆の量を2.5倍に増やし、染液を濃くとった
  • 黒豆を煮出す回数が増えると青っぽい色素が減り赤っぽい色素が良く出たので、煮出す回数を4回から3回に減らした(紫っぽい色にしたかった)
  • 一回の染める時間を減らし、長時間をさける。最長20分にした

 

染め上がりです。今回は絞り模様が白くでていて絞りがまずまず成功しています。
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七宝繋ぎは日本の古典的な吉祥文様です。円形が少しずつ重なって出来ている模様で、着物や、刺し子にもよく使われます。

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良いことが続いて繋がっていくように、という意味らしいです。縁起がよくてなおかつ絞りやすい形をしています。絞りを習ったときの最初の課題もこの模様でした。
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前回染めたものと並べて撮ってみました。
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右の2枚が前回で、左の1枚目が今回の布。前回より青みの色を出すことが出来ました。くすんだ薄紫色です。

薄い染め色と白場とのコントラストは弱いながらも、絞った模様はちゃんと出ていたので、習った技法でさらしを絞るのは問題なくやれそうだと思いました。

ただ、前回よりも豆をかなり増やし染液を濃く煮出したのに、染まった布の色は前回よりも少しは濃く染まったかな?というくらいでした。材料を増やして液を濃くするだけではダメ、ということです。

2回やってもあまり思い通りにいかなかったですが、また色々染めていくうちに解っていくこともあるかと今後に期待することにしました。

7月の東北地方とは言え、暑いさなかのでの作業になりましたが自分なりに草木染めの大変さと自然からの色の魅力を感じられたのは収穫でした。

特に、黒豆を数回煮出すうちの最初の方の色は青みが強く、後のほうになると赤みが強い色が出ることに気付けたのが面白かったです。

 

色をもらったあとのたくさんの黒豆は甘い味に煮て頑張って食べましたが、お正月に作る黒豆煮のようなコクやとろみがなく、なんだかとてももの足りぬ味でした。とことん煮出してしまったせいか…。

黒豆のこっくりした味に入っていた何かで色が染まったのだから、食べるときは色も食べているんだな、と普段考えないことを思いました。

 

初めての黒豆染めの全4回連続記事、とても長くなりましたが、すべて読んで頂いた方は大変お疲れ様でした。

初心者まるだしのレポートになりましたが、絞り染めをされる方、染色に興味のある方は、また別テーマの記事もどうぞよろしくお願いします。

 

 

まとめ

  • 防染できたので、前回よりはマシな絞り染めになった
  • 黒豆を煮出す回数で染まる色が変わる?回数を減らしたら青みが強くなった
  • 豆をたくさん増やしても染め色の濃さは少ししか濃くならなかったので他の方法を考えたい
  • 染めに使った食材を美味しく食べられたらもっといい