令和3年6月20日(日)

NHKラジオで志村ふくみさんのインタビューを聴き、なかでもとりわけ関心を寄せてメモしたのが「自然から恵まれたものを誠実に自分の仕事をすることでお返しをしたい」という意味のことを仰っていた部分だ。文字で正確におこしたわけではないのでここで伝えるのは少し難しい(そして文字と語ることばはまた違うようにも思う)けれど、志村さんはこんなふうにお話をされた。『人間は自然を自分たちのためだけに利用する。それだけでなく芽生えるはずのものをコンクリートで止めてしまう。私はお風呂が3日に1ぺんくらいで良いし、もっと昔、昭和の始めくらいまで戻れたらとも思うが、私がいくら叫ぼうとも戻らない。ただの工芸や美術でとどまらない、芸術を育むことでお返しをしたいと思う…』ご自身の創作自体が自然の美しさから恵みを受けていることに対し、本当に美しいものを作るのだという明確な人間としての生き方でもって向き合っておられた。柔らかな語りの中に凄みを感じた。